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コラム

診療の質を高めていくために木の香往診クリニックが行っていること

診療の質を高めていくために木の香往診クリニックが行っていること

こんにちは!コーポレート部の松本です。
木の香往診クリニックでは、定期的に院内向けの勉強会をやっています。
2019年11月度の勉強会を11月29日に開催しました。勉強会には、当院の医師・看護師・MSWが参加しました。

院内勉強会は「診療の質」を高めていくために行っています。診療の質という概念は非常に抽象的で曖昧です。

当院では「診療の質を高める=クレドを実践すること」と定義しています。当院は15項目から成るクレドを定めていますが、それを実践することが、診療の質向上へつながると考えています。

 

今回の勉強会のアウトカムは?

勉強会では、クレドに関して、日々現場の中で工夫していることや気をつけていることをグループでシェアし合うワークを行いました。
このワークを行う上での前提課題として、以下を設定しています。

課題

  • 一緒に仕事をしていても、仲間が日々どのようなことを考えているか、実は知らない。(価値観・考え方のズレ)
  • 診療の中で、自分が無意識的に気をつけていることを言語化できていない。(暗黙知)

 

我々はチームで診療に取り組んでいますが、一緒に仕事をしている仲間がどんな考えで、どんな価値観で仕事をしているのか、実はあまり知らないものです。価値観や考え方を共有すると、相互理解が深まり、よりスムーズな診療につながります。

また、普段、自分自身が気をつけていることや工夫していることは実は無意識的にやっていることが多く、言語化できていないものです。(このような知識のことを、暗黙知と言います。)

暗黙知のままだと、組織内にシェアすることはなかなか難しいものです。暗黙知を言語化することができれば、組織内にシェアすることができます。(このような組織や集団で共有される知識を形式知と言います。)

組織内にシェアすることができれば、組織に属する全員の知識となって、診療の質の底上げにつながると考えています。

今回のグループワークは、以下の点をアウトカムとして設定しました。

今回のアウトカム

  • 各自の考えをシェアすることで相互理解を深める。
  • 日頃、無意識的に実践していること(暗黙知)を言語化することで、改めて自分の診療を振り返るきっかけとする。

 

▼(参考)暗黙知→形式知へ転換するための枠組み・モデルとして有名なものにSECIモデルがあります。気になる方は調べてみてください。

参考

SECIモデルとは

グロービス経営大学

 

 

ワークする上で注意したポイントとは?

今回の勉強会では、クレドの中で、コミュニケーションに関わるものを取り上げました。

具体的には「汲み取る医療」「伝わるを大切にする」の2つです。この2つの項目について、日々現場の中で工夫していることや気をつけていることをグループに別れて共有・議論を行いました。

ワークをする上では、以下の点に注意しています。

ワークは、医師、看護師、相談員の多職種で組むこと。

職種間で気をつけているポイントが異なる可能性があり、それぞれの視点からの意見を聞くことで、相互理解を深める。また、多面的な視点からクレドについて考えるきっかけとする。

対象を「患者様」「ご家族」「ケアチーム」の3者とすること。

在宅医療は、患者様だけでなく、ご家族やケアチーム(ケアマネージャーさんや訪問看護師さんや介護施設の方々)の方々とのコミュニケーションが非常に多く、また重要。
関連する全ての方々に対して、クレドを実践していくために、対象を明確化。それぞれに対する暗黙知の言語化を促す。

 

次回以降の課題が明確に!

実はこのようなワークは初めての取り組みでしたが、意外に盛り上がりました。

勉強会というと、堅苦しい感じになりがちですが、ワイワイガヤガヤな感じでワークできたのが良かったと思います。当院は、職種間が非常にフラットな関係性なのですが、それも楽しくワークすることにつながったと思います。

参加した、医師・看護師・MSWからは以下のような感想がありました。

・看護師とは同じような意識で診療に当たれている
・異なった視表をMSWがフォローしてくれている
・多職種でグループワークを行うのは異なる意見が聞けて面白いです
(by A医師)

 

・職種によって心がけていることが違うことがわかった
・自分の診療スタイルを見直すいい機会になった
(by B医師)

 

・それぞれの職種で大切にしていることが分かった
・いろんな意見があって新しい発見もあり今後の診療に活かしていきたい
・文字に起こすことで、意識づけることができた
(by A看護師)

 

・普段確認しあうことのない、思いか考えを聞けてよかった。
・今後の自分のNsとしての仕事に活かしていきたい。
(by B看護師)

 

・Dr. Nrs MSWとのグループは職種理解に繋がり良かった。逆に同職種同士のグループワークを行って最後の発表で職種の違いを理解する展開もおもしろいと思った。
・気付きになった部分とそうでない部分を少し考えた。ロープレを実行してみるのも良いと思った。
・(by MSW)

 

それぞれの考え方や価値観の違いを聞けて理解につながったという点や、言語化することの意味合いに関する点について、感想が出てきました。
一方で、以下のような感想もありました。

・皆が心がけていることはほとんど一緒であり、アプローチの違いまではわからなかった
・言語化する事は考える事の一歩ではあるが、これをどのように実行していくのか課題である

 

上記の指摘の通り、次の課題は洗い出したものをどう組織に落とし込んで現場の実践につなげていくか、です。この点については次回以降の勉強会で取り組んでいきたいと考えています。

 

この記事を書いた人

松本真二

木の香往診クリニック コーポレート部・多職種連携推進部

家族の病気や介護をきっかけに在宅医療の世界へ。もともとは通販会社でマーケティングをやっていました。マーケティングの視点から在宅医療を分析します。

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