コラム
心をすり減らしていませんか?医療職や介護職に多い「燃え尽き症候群」とは
「燃え尽き症候群」という病気をご存知ですか?昔から現在に至るまで医療・介護の現場で課題となっている心の病気のひとつです。そこで今回は、燃え尽き症候群について実際に医療・介護の現場で働いている当院の作業療法士に聞いてみました。
学生編集部:こんにちは、裕二さん!今回でインタビューするのは2回目になりますね(笑)まずは燃え尽き症候群が一体どんなものなのか教えてください!
OT裕二さん:OKです!今回も順番に説明していきますね。
燃え尽き症候群とは
燃え尽き症候群とは、仕事など一つの物事に対して熱心に打ち込んでいた人が、過度な身体的・精神的疲労によって、まるで燃え尽きたかのように仕事などへの意欲や能力を失い、無気力になる状態のことです。
燃え尽き症候群になると、以下の症状が現れるようになります。
身体的症状
- 吐き気や睡眠不足
- アルコールの量が増える
- 食欲不振、息切れ、頭痛・腰痛
- 胃腸障害や高血圧
精神的症状
- 自分以外の人に対して無関心やいらだちを覚えるようになる
- アルコールの量が増える
- 仕事への達成感が薄まり、突然辞表を出したくなる
- 自分に自信が持てなくなる
OT裕二さん:燃え尽き症候群は医療職や介護職といった対人援助に関わる職業に従事している方がなりやすいと言われています。その理由として、発症の原因が大きく関係しているんですよ。
学生編集部:確かにたくさんの患者さんや利用者さんと向き合わなければいけない職業だからこそ、疲れてしまうこともありますよね…。発症の具体的な原因は何なんでしょう?
発症の原因
個人的要因と環境的要因の2つに分類することができます。
個人的要因
責任感が強く、相手のために頑張りすぎてしまう人は燃え尽き症候群になりやすいと言われています。 医療職・介護職で働く方は奉仕の精神が高く、責任感が強い傾向にあり、発症して初めて、今まで自分で自分の精神をすり減らしながら働いていた、ということに気付かれる方もいます。
環境的要因
長時間の勤務や厳しいノルマ、自分の働きが正当に評価されないような環境で働くことが原因となります。 医療職・介護職の現場は常に人手不足であることが多く、長時間勤務をされている方も多いです。また、命を預かる職業のため、職場では常に緊張感を持たざるを得ないということもあります。
学生編集部:医療や介護の現場で日々働いている方は本当に尊敬します…!裕二さんも働く中で疲れてしまった経験はありますか?
OT裕二さん:ありますよ〜。10年くらい前に、燃え尽き寸前だったことがあります。仕事がとても忙しくて常に緊張状態だったので、最初は気が付かなかったんですが「あれ?おかしいな?」と思って。その時は、仕事を一週間休んで、お寺にこもりました。仕事のことを忘れ、規則正しい生活をして、すっかり元気になって帰りました。あと、お経もいくつか覚えられましたよ(笑)
学生編集部:そうなんですね。お寺にこもるという発想はなかったです!(笑)では、この燃え尽き症候群を予防する方法もあるんですか?
OT裕二さん:もちろんありますよ。予防法を知ることも大切ですね。ひとつずつ紹介していきます。
「燃え尽き症候群」の予防法について
現在、燃え尽き症候群を完治させる治療法は見つかっていません。しかし、発症を防ぐことは可能です。発症しないためにどのようなことに気をつければよいのでしょうか?
①意識的に仕事の制限を設ける
仕事とプライベートの時間を意識的に線引きしましょう。忙しくても仕事から離れる時間をしっかり確保することで、精神的に余裕を持つことができます。
②十分な睡眠・運動
軽い運動を取り入れることで質の良い睡眠をもたらし、心身をリフレッシュさせることができます。また、燃え尽き症候群になると自分の食事に気を遣わなくなりがちです。インスタント食品といった栄養の偏った食品を取る日が何日も続いたら、意識的に食事の内容を改善するようにしましょう。
③職場の内外に相談できる相手を見つける
何かストレスが溜まるようなことがあっても、1人で抱え込むことを防ぐために気軽に相談できる相手を見つけましょう。話を聞いてもらうだけでもストレス解消に繋がります。
OT裕二さん:つまり、仕事への責任感や緊張状態から離れて、休んだり楽しんだりする時間をつくることや、自分の今の状態を他人の視点から見ることが大切なんです。
学生編集部:そうですね。私だったら好きな音楽を聞きながら散歩します!こんな風に自分なりに気分転換できるものを見つけることも大事ということですよね?
OT裕二さん:その通りです。そして、もし「疲れちゃってて、見つけるのも大変だなぁ」と思う場合は、まずは思い切って休むことが大切です。責任感が強い人はなかなか休めないものですが、燃え尽きてしまうことを考えたら、少しのあいだ休んだり遊んだりして元気になるほうが本人にとっても周囲にとってもずっといいことだと思いますよ!