コラム
担当者会議で必要な回復期リハビリ職の視点とは
今回の勉強会のテーマは「担当者会議、リハビリ職に何をどのように聞いたらいいの?」
10月21日に、地域のケアマネさんをお呼びし、木の香おやつ勉強会を開催しました。
「担当者会議、リハビリ職に何をどのように聞いたらいいの?」をテーマに、当院の作業療法士の伊藤裕二がお伝えしました。
回復期病院退院時の担当者会議
担当者会議は、ケアマネさんを中心に各職種や患者さんのご家族などと一緒に患者さんのケアプランの内容について検討していく場です。患者さんが回復期病院から退院するときに行われることが多いです。
回復期とは患者さんの容態が危機状態(急性期)から脱却し、身体機能をリハビリなどで回復させていく時期ですね。
そのため、回復期リハビリでは患者さんの機能回復と能力向上が目的となります。そこで回復期リハビリ職にとって重要になることが患者さんの予後予測とプログラム立案です。
病気の予後と予測
この時期のリハビリは、退院後の生活まで考慮してリハビリのプログラムを考えていかなければなりません。そこで、まず最初に回復期リハビリ職は患者さんの予後を統計学的に予測していきます。
大腿骨を骨折した患者さんの例で簡単に考えてみましょう。年齢も比較的若く、骨癒合も良いので痛みが少ない場合であれば、その分身体機能や能力もリハビリで伸びやすいと想定できます。よって、積極的に運動を行うリハビリを導入できると判断します。
このように、病気に合わせて関節可動域・脳血管障害による麻痺・筋力といった様々な観点から今後を予測しながらプログラムを考えます。また、高次脳機能の程度やADLの評価、利用できる装具・自助具なども考慮しています。
しかし、患者さんによって退院がゴールの場合もあれば、退院後のその先にゴールが存在する場合もあります。
そこで、ケアマネさんは回復期リハビリ職が想定していた患者さんの退院後の生活像を共有して、次のバトンを居宅サービス事業者に繋ぐことが望ましいです。
以下からは、バトンをつなげるためにケアマネさんが担当者会議で回復期リハビリ職に質問するときのポイントを押さえましょう。
回復期リハビリ職には何をどのように聞くのがよい?
回復期リハビリ職の視点を理解したうえで、ケアマネさんはリハビリ職の方とどのように関わればいいのでしょうか?
担当者会議で質問をするときは「予後予測」「ゴール設定」の2点が重要になります。
担当者会議では多くの場合患者さん本人やそのご家族が参加されます。脳血管疾患の患者さんの場合、患者さん本人に麻痺の予後を伝えられていないことがあります。リハビリのモチベーション維持や精神的な影響のためにも、患者さんがいる前で予後の話題を安易に出さないようにしましょう。会議の前に予後の話題の扱い方をリハビリ職の方と相談しておいたり、あらかじめ予後について把握しておくとよいですね。
また、栄養状態の確認も行うようにしましょう。栄養状態の程度によってリハビリで対応できる内容が異なってきます。Alb.(アルブミン値)が3.5g/dL以下は低値とみなします。ケアマネさんもリハビリ職の方を通して、患者さんの栄養状態を把握してリハビリの内容をある程度想定できるようにしておくとよいですね。
退院後のゴール設定
前述のように、患者さんにとって必ずしも退院=ゴールというわけではありません。退院後のゴールを話し合って決めておくことで、退院後に介護サービスを受けるかどうか、どんな条件が居宅サービス終了に必要かどうかを判断することができます。
まとめ
回復の患者さんを受け持ったときのイメージはできましたか?リハビリと一口に言っても様々な想定を考えなければなりませんね。次回は生活期リハビリの場合を紹介していきます。