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在宅酸素療法の導入時に考えるべきポイント

在宅酸素療法の導入時に考えるべきポイント

在宅酸素療法は、心不全や呼吸不全などの疾患を持ちながら在宅で療養されている方にとっては重要な治療の一つです。
そこで今回は、在宅酸素療法について紹介していきます。

 

在宅酸素療法とは

酸素は、肺・心臓・肝臓・腎臓など、あらゆる器官を正常に機能させるためのエネルギー源です。そのため、呼吸不全や心不全などの基礎疾患の増悪が起きると、低酸素状態に陥ってしまいます。

低酸素血症とは、体内の酸素が不足した状態を指し、息切れ・チアノーゼ(顔色の悪化)・意識障害を経て、最悪の場合は死に至る症状です。
本来ならば、呼吸状態の悪化を招いている呼吸器疾患を治療しなければ根本的な解決とはなりませんが、一般的にこのような病気は根本的な治療が難しいことが多いです。

慢性呼吸不全をきたす主な疾患

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 気管支拡張症
  • 肺結核後遺症
  • 間質性肺炎
  • 職業性肺疾患など

 

そこで、呼吸器疾患などによって不足した酸素を補い、低酸素状態を改善させるために在宅酸素療法がおこなわれます。

在宅酸素療法はHOTとも呼ばれ、室内空気より高い濃度の酸素を患者さんのご自宅で吸入する治療法です。
在宅酸素療法は酸素を吸ったら癖になる、肺の機能が弱まるなどと思われがちですが、どちらも正しい理解ではなく、低酸素血症の改善以外にも以下の効果があるとされています。

 

在宅酸素療法で期待される効果

  • 息切れの改善
  • 記憶力・注意力の低下の改善
  • QOLの向上

 

また、在宅酸素療法を実施している患者さんの中で呼吸器疾患以外のかたは約30%にもなり、呼吸器以外の疾患でも利用している方は多くいらっしゃいます。
2018年4月に行われた診療報酬改定によって、群発頭痛も在宅酸素療法の適応となりました。

 

在宅酸素療法に必要な費用と医療機器

在宅酸素療法にかかる費用は、1カ月あたり1割負担で7,680円、3割負担で23,040円であり、これに月々の電気代が加算されます。在宅酸素療法に必要な機器は、主に以下の3つです。

■酸素濃縮器

酸素濃縮器とは、部屋の空気を利用して酸素を濃縮・供給する機械です。他の方法としては、液体酸素を酸素ボンベから供給する方法がありますが、利用者のほとんどは酸素濃縮器を使用しています。

酸素濃縮器は電化製品なので、月々の電気代が約1,000円かかります。また、騒音の程度は冷蔵庫などと同等程度だと考えて下さい。

■カニューレ・マスク

カニューレ・マスクとは、酸素濃縮器で作られた酸素を体内に送るためのチューブ・マスクを指します。主な酸素供給方法は、鼻にルートを通す方法・口にマスクを通す方法の2通りです。
ほとんどの患者さんは、鼻から酸素を供給するカニューレを使用します。マスクを使用する場合は、酸素供給が多量に必要とする場合や、鼻に疾患がある場合に限ります。

■携帯用酸素ボンベ・デマンドバルブ

携帯用酸素ボンベとは、外出時に使用する携帯型の酸素供給器です。また、デマンドバルブは、日本語で呼吸同調器と呼ばれ、呼吸時にのみ酸素を供給できるようにする人工蘇生器です。
電気を使用した酸素濃縮器を持ち運ぶことはできないため、外出時は携帯用酸素ボンベを活用します。酸素ボンベは有限ですが、デマンドバルブを利用することで長持ちさせることが可能です。

また、停電時には酸素濃縮器を使用することはできないため、非常時の備えとして携帯用酸素ボンベが利用することができます。

 

まとめ

酸素療法の導入には基準が設けており、導入には医師の判断が必要です。しかし、場合に応じては数値に関わらず、医師の判断で健康保険を適用することが可能です。
また、酸素療法に必要な医療機器は省エネ・小型化が進み、ルートは圧迫感や閉塞感がないよう配慮された設計になっているため、外出や旅行を楽しむことも可能です。

今回で在宅酸素療法についてポジティブなイメージを持っていただけたら幸いです。

 

この記事を書いた人

学生編集部

木の香往診クリニック 学生編集部

医療系の学部に通う大学生です。学生目線で在宅医療について発信していきます。

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