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現場で使える知識

経鼻経管栄養患者を受け持つケアマネジャーさんが注意すべきポイント

経鼻経管栄養患者を受け持つケアマネジャーさんが注意すべきポイント

ケアマネジャーさんが在宅医療の現場で経鼻経管栄養の患者さんを受け持つことはよくありますよね。基本的なことは知っていても「トラブル時にどうすれば?」と悩むこともあるでしょう。

今回は、経鼻経管栄養患者さんを受け持つ際に、日頃から気をつけておくべきポイントについて紹介します。

 

経鼻経管栄養チューブが抜けた場合の対処法

経鼻経管栄養チューブはテープで抜けないように固定をしていますが、患者さんの体動や自己抜去して抜けてしまうことがあります。

そのような時、どのように対処すべきなのか、ケアマネジャーは事前にどう指示しておけば良いのでしょうか?

ケアスタッフは経鼻経管栄養チューブを挿入しない

ケアスタッフは患者さんの経鼻経管栄養チューブが抜けていたとしても、自分で挿入することは必ず避けましょう。特に、半分抜けていたり、抜けかけている場合だと自分で挿入してもいいかなと思いがちですが、絶対にしないでください。

経鼻経管栄養チューブが誤って気管に入り、その状態で投与すると、患者さんにとって大変危険な状態になってしまいます。看護師や医師であっても挿入後に確実に胃に入っているかレントゲン撮影で確認する病院が多数です。

そのため、看護師や医師に報告するようにケアスタッフに指示をしておくことが重要になります。

また、栄養剤を投与中である場合と投与中でない場合で緊急度は大きく異なり、その後の対処法も変わってきます。

栄養剤を投与中の場合

気管に栄養剤が入ってしまい(誤嚥)窒息や重篤な誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。チューブが抜けた場合は、迅速に医療スタッフに連絡しましょう。

栄養剤を投与中に抜けてしまった場合、ケアスタッフも焦ってしまいます。

医師や訪問看護師に連絡する場合に、「経鼻経管栄養チューブが抜けてしまった」としか言えない場合がありますが、それだけでは緊急性などが伝わらないことがあります。

「いつ」、「どのように抜けたのか」、「患者さんの状態(酸素飽和度の低下がないか、嘔吐や咳き込みがないか)」について報告できるように、焦らず、冷静に対処するように伝えておくと良いでしょう。

投与中に経鼻経管栄養チューブが抜けてしまった場合に備えて、医療スタッフに連絡がつかない場合には、病院を受診することも指示しておくと良いでしょう。

栄養剤を投与中でない場合

投与中でない場合は、次回の栄養剤や薬の投与時間までに経鼻経管栄養チューブを挿入すれば良いので緊急性はありません。医療スタッフが訪問したときに、その旨を伝えましょう。

 

栄養剤投与中に激しい咳き込みや嗚咽・酸素飽和度が低下した場合の対処法

栄養剤投与中に咳き込みや嗚咽が激しい、酸素飽和度が急激に低下する場合は、栄養剤が気管に流れ誤嚥している可能性が高いです。

そのような場合は、一旦栄養剤の投与を中止して、医師や訪問看護師に連絡するように指示しておきましょう。

酸素飽和度が急激に低下している場合は患者さんの窒息を招く場合もあり、大変危険な状態です。医療スタッフがすぐに来られない場合には緊急搬送になることもあります。

 

栄養剤の残量の管理について

当然ながら、栄養剤がなくなれば患者さんは食事ができないことになってしまいます。そうなってしまわないように、予め薬剤師に栄養剤の残量の管理をしてもらうように依頼しておきましょう。

また、定期的に栄養剤を補充していたとしても、栄養剤をこぼして、残量が足りなくなってしまうというケースもあります。

栄養剤をこぼしてしまった場合などは、ご家族に報告していただく、介護スタッフが残数を確認しておき、足りない場合は、ケアマネジャーさんに報告してもらい、薬剤師に依頼するといったことも必要となる場合があります。

 

経鼻経管栄養患者さんについて普段から観察しておくべきポイント

固定テープは触らない

経鼻経管チューブの固定テープが外れている場合があります。そのような時でも、基本的に介護スタッフは触らないようにして、医療スタッフに連絡しましょう。ご家族が固定を行える場合はご家族に頼んで固定してもらうようにしましょう。

排便処理や吸引は栄養剤投与前に行う

栄養剤投与後に患者さんの身体を動かしたり、吸引したりすると投与した栄養剤が逆流し誤嚥する可能性があるので、ケアは事前にしておきましょう。

投与後30分~1時間は臥位にしない

排便処理と同様に投与後30分~1時間は、臥位になると栄養剤が逆流する可能性があります。栄養剤の固さにもよりますが、基本的に最低30分は頭部をギャッジアップしておくべきです。投与後のギャッジアップ時間は、医療スタッフに相談するのも良いでしょう。

下痢になっていないかを確認する

栄養剤は、固形ではなく半固形や液体のため下痢を引き起こしやすいです。投与スピードが速いと、さらに下痢になる可能性はあがります。また、栄養剤が患者さんに合う、合わないという部分もあるため、下痢になっていれば、医療スタッフに相談するようにしましょう。

さらに、下痢になれば、脱水や栄養状態の悪化も起こったり、感染性の腸炎になる可能性もあるため、ただの下痢とは思わずに医療スタッフに報告するようにしましょう。

 

まとめ

重要なポイントをおさらいしておきましょう。

  1. 介護スタッフが経鼻経管栄養チューブの挿入をしない。
  2. 経鼻経管栄養チューブが抜けてしまった時は、医療スタッフに連絡。
  3. 栄養剤投与中に経鼻経管栄養チューブが抜けてしまった場合は迅速に連絡!
  4. どのような時に誰に連絡すべきなのか調整しておく。
  5. 栄養剤投与中に咳き込みや激しい嗚咽、酸素飽和度が低下する場合は投与を中止し、医療スタッフに連絡する。
  6. 栄養剤が不足しないように薬剤師に管理を依頼しておく。

この他にも、経鼻経管栄養患者さんの気をつけるべき点についてお話しましたが、どのような時に、どのように対処するのかケアスタッフに指示するためには、ケアマネさんも知識を持っておかなければなりません。

正しい知識、正しい対処を知り、適切に対処できるように事前に準備しておくことが必要になります。安全安心に患者さんへの対応をできるようにしましょう。

 

この記事を書いた人

木の香往診クリニック

木の香往診クリニック 編集部

在宅医療に関わる介護職や医療職の方へ役立つ情報をお届けします。名古屋市にある木の香往診クリニックが運営しています。

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